2025年活動報告

【2025年度の活動報告】
●遠州地域4ヶ所の荒廃農地において新規開墾及び植樹をいたしました。
<植樹した苗木の成育状況>
茶園跡地はph4.0以下からph5.5以上への大幅な土壌改良を実施してから植樹しました。
一部、濃度障害による苗枯れを発生させてしまいましたが、
全体的には比較的順調に成育しております。

水田跡地はやはり大雨の後の排水不良で多くの苗木が枯れてしまいました。
その後、土木業者に依頼して排水工事を実施し、暗渠パイプを埋設しました。

●今年度は和栗協議会の産地視察で様々な地域に同行させて頂きました。
国内、国外問わずどこに伺っても生産量の減少、生産者の高齢化=後継者不足、栗樹の老衰、温暖化による病虫被害の増加が共通課題である事が分かりました。

一方で、特定の生産者によっては、樹齢50年以上の樹でも反収300kg以上の収穫量を維持している実例もそれなりにあり、今後の研究材料となる情報も多く入手できました。

●私自身、初の海外視察となるフランスのコルシカ島視察にも10日間同行させて頂きました。
温暖湿潤な日本の気候とは全く違う、寒冷乾燥地帯での栗栽培は驚きの連続でした。
コルシカ島の栗栽培は標高500m以上に限定しています。
害虫や病原菌が生育し辛い環境を選ぶ事で、無農薬栽培を続けていました。
また、栗の樹は子孫に代々引き継ぐものという意識が高く、樹を弱体化させるとの理由で化学肥料は基本的に使用しない栽培方針でした。
その結果、樹齢100年、150年を超えても現役バリバリで高反収を上げている樹も多数存在していました。

●昨年に引き続き、今年度も能登の生産者4名から能登栗を9トン買取させて頂きました。
JA掛川市からも昨年を上回る1.3トンの栗を入荷いたしました。
昨年同様に遠州森町の加工場をお借りして、焼き栗ペーストの製造を約2ヶ月間実施しました。
定期的に味見や糖度測定をしておりますが、関係者からも高評価を頂いております。

能登栗、遠州栗どちらも冷蔵熟成による保管ロスはなく、
焼き栗加工における商品化率も目標数値をクリアできました。


以上、
簡略ではありますが、今年度の活動報告となります。

まだまだ和栗の保全、発展の活動は始まったばかりです。
栗を植樹するのは簡単です。
20年後に産地化する事も簡単です。
しかし、それだけでは今までと何も変わりません。

60年前の1965年に栗が国の推奨作物となり、
日本国内で一斉に栗栽培が普及していきました。
その後15年で生産量のピークを迎え、
60年経った今、ピーク時の20%にまで生産量が減少しました。
和栗の栄華は一瞬でした。

クラウドファンディングのタイトルに掲げたように、
私たちの活動の成功は次の60年先を見ています。
60年後も栗の樹が元気いっぱいで高い収穫量を維持できている事。
次世代、次々世代が同じ栗の樹を受け継いでしっかり儲かっている事が何よりも大事です。

栗生産者が儲からなければ、必ず産地は衰退の一途を辿ります。
同じ失敗を繰り返さないよう、
栗の樹を衰弱させない事、
栗農家を憧れの職業とする事が私たちの本当の挑戦です。

改革すべき和栗の課題は山盛りです。
その課題が次々と見つかった事が今年の最大の収穫です。
今後とも和栗の発展に私たちは邁進してまいります。
2026年もよろしくお願いいたします。

2025年12月31日
和栗協議会
松尾栗園 松尾和広