栗の無肥料栽培

松尾栗園は2015年を最後に5年間無肥料栽培です。

栄養分を与えていないのに何で美味しく育つのか不思議ですよね。

 

偶然ではありません。

根拠はあります

 

キーワードは「細胞分裂」です。

植物は細胞分裂して肥大します。

 

自然界の植物は、十分に細胞分裂してから肥大します。

細胞がゆっくり時間をかけてたくさん作られるので、

細胞壁も厚みがあり、繊細で緻密でずっしり比重の重い農作物ができます。

細胞の老化が遅く日持ちします。

味も濃くなります。

 

一方、肥料、特に窒素をたくさん散布し過ぎると、

細胞分裂そこそこに細胞肥大が始まってしまいます。

細胞壁は薄くて弱く比重は軽い。

ス入り(空洞化)や、裂果等の規格外品も多くなります。

傷みやすく日持ちしません。

 

それは有機栽培だって同じことです。

化学肥料に比べれば肥料の効き方はゆっくりですが、

必要以上に窒素をやり過ぎたらやっぱり肥大化は加速します。

 

 

なぜ、そんなに多く肥料まくのか?

 

早く大きくなるから。

そもそも無肥料で育つわけない。農協職員もそう言っている。

肥料まいておかないと不安になる。

などなど

 

 

無肥料の方が美味しくなるなら、みんな無肥料にすれば大丈夫か?

答えは「NO」です

植物だって生き物なので、当然栄養分を吸収しなければ枯れ死します

窒素、リン酸、カリ、カルシウム、マグネシウム、その他微量要素

それぞれに大事な役割があり、

どの元素も絶対に欠かせません。

 

もし、養分欠乏気味の農場で無肥料栽培にしたら

当然、貧弱な植物に育ち、

病気や虫の侵食に耐えられないでしょう。

万が一、作物を収穫できたとしても決して「いい物」とは言えません。

同じ無肥料栽培の農産物でも当たり外れが激しく出てしまいます

 

 

大事なこと。

自分の農場の土壌状態を知る&養分バランスを整える。

自分の農場の土にどんな成分がどれだけ保肥されているのか?
専門機関に依頼すれば土壌成分検査で確かめることができます。

農場の数だけ土の環境も違います。

必要な養分が保持されている事を数値で確認できれば、

安心して自信持って無肥料に取り組めます。
当然、養分が欠乏していると分かれば必要最小限の肥料を施します。

でも、一番大事なのは日々の観察眼です。毎日農場に通うことです。

 

 

自分の農場の土を育てる。

→C/N比(C=炭素/N=窒素)で炭素割合の高い土壌にする。

刈り草、落ち葉、剪定伐採枝、草木灰などの有機物還元。

養分量が足りなければ必要最低限の堆肥など有機肥料投与。

微生物のエサを増やして土壌中の炭素割合を高める。

 

農作物を農家で選ぶ時代なんて言葉をごくたまに耳にします。

同じ作物でも農家の数だけ味は変わります。

 

とういわけで、

 

これからも農業の勉強がんばります(^-^;