焼き栗の加熱時間

今、オンラインショップにプレミアム焼き栗&焼き栗棒を出品させて頂いております。


焼き栗も焼き栗棒も原材料は同じ。栗のみです。素材100%です。


ただ、焼き加減=加熱(加圧)時間が違います。


松尾栗園は一昨年まで焼き栗1品で商売してきました。

7割が輪島朝市や物産展での実演販売。3割が通信販売でした。

今は4割実演、6割通販です。

 


焼き栗の実演をやっていると、年に3回ぐらい失敗することがあります。

焼きあがった栗の選別や試食作り、お客様との会話に夢中になっているうちに、

ついつい焼き栗機の存在を忘れてしまって、気付いた時には焼き過ぎてしまう大失敗です💦


本来なら、鬼皮がぱっくり開いて、黄色い栗の実が美味しそうに見えるところ、

焼き過ぎて鬼皮は丸焦げ。中身は黄色を通り越してオレンジか茶色。

とても人前に出せる見た目じゃなく…

行列に並んだお客様にひたすら平謝り。次の焼き上がりまでさらに15分待ち…という事も過去にありました。

 


怪我の功名? というか、

後でスタッフたちと一緒に失敗作を試食すると、

「あれ? これ、めちゃめちゃ美味くないですか!?」

丸焦げでべちゃっとしてるけど、今まで食べてきたものより格段に甘い!

自分たちがベストと思ってる加熱&加圧時間、思い切って変えてみようか。


翌日から加熱時間を少し増やしました。 


すると、通販で定期的にご注文頂いてるお客様から、

「今回の栗がすごく美味しかった! 今までで一番! 

 ホクホクしてる栗もいいけど、しっとりねっとりしてる栗の方が甘いのですね。

 できたら、次回以降もずっと同じ栗にして頂きたい」とリクエストを頂きました。


朝市の出店者仲間であり、うちの常連客でもある方も、

「松尾さん、昨日の栗柔らかくて甘かったなあ。何や品種が違うのか?」

と、とても気に入って頂きました。

今でも「今日は柔らかいやつか?」と聞いてから購入してくれます😊

 


一方で、新規のお客様からクレームの電話が入りました。

「栗が届いたけど、何かベチャっとしてる。こんな栗食べたことない。

 中身も茶色っぽいし、どこか傷んでいるんじゃないのか」


食べログでも「ホクホク感がない。栗っぽくない」と書かれてしまいました。


う~ん。

常連さんには受けが良くて、新規の方には受け入れられない。


散々迷ったあげく、というか今でも迷い続けていますが、

私たちの出した答えは、

 


「なるべくベチャっと変色させないで、加圧時間を増やす」です。

 


今まで加熱時間と加圧時間はセットでした。

でも、加熱時間を減らして加圧時間を増やすことを思い付いたのです。


それは、毎回焼くたびに予熱すること。

焼き栗窯を300度以上に空焚きしてから栗を投入。


すると、今まで焼きあがるのに10分以上かかっていたのが、7、8分ほどで焼きあがるように。

これなら圧力をもっと加えても、今までほど茶色くならないし、ベチャってしない。

粉質のホクホク感はやはりなくなるけど、

ねっとり、しっとりしたあの甘味は引き出せる。


こんな経緯で「松尾栗園の焼き栗」のオリジナルの形を作り上げてきました。


加熱処理中にデンプンの糖化が進むのは分かるのですが、

栗にとって最適な加熱温度は? 

加圧量は?

熟成期間は?

品種やサイズによってデンプンの質に違いはあるのか?

栗をもっと明確に知りたくて、

一昨年は、石川県立大学の教授、ゼミ生にサンプル送って研究して頂きました。


確かな知識が増えれば、もっと焼き栗を美味しく作れる。

まだまだ私は勉強が足りません💦



「無糖焼き栗ペースト」と、そのペーストをレトルトパウチした「焼き栗棒」は、

思いっきり丸焦げに焼いています。

こちらは鬼皮を剥くので、見た目完全無視の100%味重視です。