国産の栗ペーストはほとんど加糖です。
砂糖不使用と書いてあっても、グラニュー糖やバニラなど他の甘味料を代用してあることが多いです。
無糖ペーストは超少数派です。
製造メーカーさんの代表的な理由としては、
① 日本国内の栗のシェア80%が海外からの輸入品。安価な外国産と市場競争しなければいけない。
② ペースト製造経費で一番高いのはダントツで栗の原材料費。
砂糖の原材料費は栗の1/5ぐらい。
なるべく砂糖の量を増やした方が安価で製造できる。
③ 糖度を上げると保存性は高まるため、保存期間を長くするには砂糖の量を増やした方がいい。
④ 原材料の栗の糖度は均一じゃない。砂糖の量で味を統一化する。
現在、市場に流通している栗ペーストの平均糖度は40~50度。
収穫した栗の糖度は10度前後です。それが…50度!
だいたい、栗に対して30~50%ぐらいの加糖率らしいです。
昔、糖度55度のペーストを食べました。
「めちゃくちゃ美味い!」
衝撃的な美味しさでした。
最初に砂糖の甘さがガツンと来て、後からほんの少しだけ栗が追いかけてきた感じでした。
栗の味は意識して探してやっと見つけられた気がします。
砂糖ってすごいな。。。
製造メーカーいわく、
この糖度55度ペーストは発売2ヶ月で完売したそうです。
県内の和菓子、洋菓子店、レストラン、ホテル…大好評だったそうです。
某ホテルで実際に使用しているというアイスクリームを頂きました。
パッケージを見ると、国産栗ペースト、牛乳、砂糖など順番に色々明記されていました。
栗ペーストですでに半分ぐらい砂糖入っているのに、また砂糖が追加されていました。
製造メーカーに決して悪気はありません。
むしろ、もっと国内産を普及したいと使命感を持ってがんばってくれています。
そのおかげで、栗農家のおじいちゃん、おばあちゃんたちが廃業しないで、
毎年仕事を続けられています。
自分で細かい選果や熟成、ペースト加工やら営業、販売などなかなかできない。
だから、育てた生栗を買ってくれるJAさん、
ペースト等を作ってくれる製造メーカー、販売店に対して、
栗農家のおじいちゃんたちは本当に心から感謝しています。
私は特に砂糖絶ち生活をしているわけではありません。
ケーキもチョコレートも食べるし、コーヒーは微糖派です。
撮り過ぎないように意識する程度です(^_^;)
私の場合、
個人的に栗栽培に思い入れが強すぎるのかもしれません(^_^;)
どうしても自分の育てた栗だけは加糖に抵抗があるのです。
剪定、土作り、草刈り、超減農薬、防風林の枝打ち、収穫、選果…
年間200日栗園で農作業しています。
すべては秋にデンプンのたっぷり詰まった美味しい栗を収穫するために。
最後に一通のメールを紹介します。
8年前。うちで住み込みアルバイトをしてくれた当時25歳の男性からです。
住み込み期間満了でお別れの時に焼き栗500gを手土産に渡しました。
「我が家の92歳のおじいちゃんがすごく嬉しそうに焼き栗を食べていました。
僕も知らなかったのですが、栗が大好物だそうです。
でも、糖尿病で砂糖摂取量に制限があって、もう何年も焼き栗を食べていませんでした。
最初に僕と両親が食べていたのを羨ましそうに見て、
母親がこの焼き栗は砂糖入っていないから少し食べていいよと手渡すと、
満面の笑顔で自分で皮を剥いて食べ始めました。
こんなに家族みんなを幸せな思いにしてくれて、
松尾さん、いい仕事していますね!
ずっと続けてください」
このメールを読んだ私が一番幸せを感じた気がしました。
無糖の栗を極めてみたい。
そう思った瞬間でした。
この時、
昔、故ジャイアント馬場さんが言った言葉を思い出しました。
「みんなが格闘技に走るので、私、プロレスを独占させて頂きます」
「みんなが加糖に走るので、私、無糖を極めます」
超少数派でちょうどいいのです。
小さな個人農家ですから。
(2019/9/1作成)
つづく